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耳をふさがないので周りの音が聞こえる、長時間でも耳の穴が痛くなりにくい。骨伝導イヤホンはそう紹介されることが多い一方で、低音の聞こえ方や電車での音漏れは、買う前に確かめておきたい点です。1万〜3万円するものも多いので、買う前に弱点を知っておきたいところです。
この記事では、骨伝導イヤホンのデメリットを一つずつ整理し、向いている人・向いていない人、デメリットを小さくする使い方、選ぶならどのモデルかをまとめます。なお、私たちは紹介する製品を実際には使っていません。スペックや価格は、メーカー公式サイトと国内正規代理店の掲載内容をもとにしています。
結論:周りの音を聞きたい用途向け。遮音性や低音を優先する音楽鑑賞には不向き
骨伝導イヤホンは、走りながら、家事をしながら、在宅勤務で家族の声を聞きながら、といった周りの音を聞きたい場面で強みが出ます。反対に、低音の効いた音楽を楽しみたい人、電車やカフェなど騒がしい場所で使いたい人、周りに音を聞かれたくない人には向きません。
| デメリット | 困りやすい場面 | どのくらい気になるか |
|---|---|---|
| 低音が弱く、音が軽く聞こえる | 音楽、映画、ゲームの効果音 | 音質を重視する人ほど大きい |
| 騒がしい場所では聞こえにくい | 電車、バス、繁華街、カフェ | 通勤で使いたい人は大きい |
| 音量を上げると音漏れする | 静かなオフィス、図書館、電車 | 周りとの距離が近いほど大きい |
| 振動がくすぐったい | 音量を上げたとき、低音が多い曲 | 人によって差が大きい |
| メガネやマスク、帽子と干渉する | メガネを毎日かける人 | 形が合うかで変わる |
| 周りの騒音を消すANC(ノイズキャンセリング)がない | 集中したいとき、移動中 | 騒音を消したい人には決定的 |
表のうち、低音と騒音の2つは仕組みから来るもので、高いモデルを選んでもなくなりはしません。どれが気になるかは、使う場所でほぼ決まります。次の節で、場所ごとに向き不向きを整理します。
使う場所で決める:向いている場面・向かない場面
骨伝導イヤホンが合うかどうかは、性能より「どこで使うか」で決まります。場所ごとに整理します。
- ランニング・ウォーキング:車や人の声など周りの音が耳に入る。ネックバンド型は動いてもずれにくい
- 在宅勤務:家族の声やインターホンを聞き逃しにくく、ウェブ会議をしながら周りの様子も分かる
- 家事をしながらラジオや動画の音声を聞く:話し声は低音が少ないので、骨伝導の弱点が出にくい
- カナル型で耳の穴が痛くなる・かゆくなる人:耳の穴に何も入れないので、耳の中の圧迫感はない(こめかみやバンドが当たる感じには個人差があります)
- プール:防水で本体に音楽を保存できるモデルがある(条件は後で紹介するOpenSwim Proの項を参照)
- 通勤の電車・バス、カフェ:騒音で聞こえにくく、音量を上げると音漏れも増える。向かない場面です
- 静かなオフィスや図書館:音漏れが気になりやすい場所です
自転車で使う場合の注意
自転車は、骨伝導だから使ってよい、とは言えません。警察庁の資料では、イヤホン等を使って安全な運転に必要な音や声が聞こえない状態で自転車を運転することは、都道府県の公安委員会規則で禁止されているとしています。骨伝導型のように耳を完全にはふさがないものは、「安全な運転に必要な音又は声が聞こえる限りにおいて」違反にならない、という扱いです。
骨伝導でも、音量が大きくて車の音やサイレン、呼びかけが聞こえない状態なら使えません。決まりの細かい書き方は都道府県によって違うので、住んでいる地域の規則も確かめてください。この記事では、自転車での使用はおすすめの用途に含めていません。
共通するのは、「音質より周りの音」「音楽より話し声」という使い方です。この条件に当てはまるなら、ここから書くデメリットはあまり気になりません。
骨伝導イヤホンのデメリット
低音が弱く、音が軽く聞こえる
骨伝導イヤホンは、こめかみの前あたりに振動する部分を当て、骨を通して音を伝えます。耳の穴の中で空気を震わせる普通のイヤホンと比べると、低い音の厚みが出にくい仕組みです。骨伝導イヤホンを販売するShokzも、自社の解説記事で「骨伝導技術の限界により、低音の深みや響きが多少失われることがよくあります」と書いています。
最近は、骨伝導の振動に加えて、小さなスピーカーで空気を通した音も出すモデルがあります。後で紹介するOpenRun Pro 2がその例で、低音を補う工夫として採用されています。それでも、耳の穴をふさぐカナル型イヤホンと同じ低音を期待すると、物足りなく感じやすいです。
騒がしい場所では聞こえにくい
耳をふさがないので、周りの音はそのまま耳に入ってきます。安全面では長所ですが、電車の走行音や駅のアナウンス、繁華街のざわめきの中では、イヤホンの音がかき消されます。聞こえないので音量を上げると、次に書く音漏れと振動の問題が大きくなります。
通勤電車で使う時間が長い人は、骨伝導イヤホンだけで済ませようとすると後悔しやすいです。移動中はノイズキャンセリング付きのイヤホン、家や運動中は骨伝導、と使い分ける人もいます。ノイズキャンセリングの仕組みや用語はワイヤレスイヤホンの用語と選び方で解説しています。
音量を上げると音漏れする
骨伝導イヤホンは耳の外に振動する部分があるため、音量を上げると周りにも音が聞こえます。どのくらい漏れるかは機種・音量・周りの静かさで変わり、この記事では測定していません。静かな部屋や混んだ電車、内容を聞かれたくない通話では、音量を控えるか別の方式を選ぶほうが安心です。
騒がしい場所では音量を上げたくなり、静かな場所では音漏れが気になるので、どちらの場所でも少し使いにくさが残ります。人の近くで使う時間が長いなら、音漏れしにくいカナル型も候補に入れてください。
振動がくすぐったい・ムズムズする
音量を上げたときや、低音の多い曲を流したときに、こめかみに当たる部分の振動を感じることがあります。慣れる人もいれば、くすぐったくて長く着けていられない人もいます。この感じ方は個人差が大きく、スペックの数字からは判断できません。可能なら家電量販店の店頭で試着してから決めるのが安全です。
メガネ・マスク・帽子と干渉する
スポーツ向けの骨伝導イヤホンの多くは、左右がつながった「ネックバンド」型で、耳にかけて首の後ろにバンドを回します。メガネのつるやマスクのひもと同じ場所に重なるため、人によっては耳の上が窮屈に感じます。後頭部にバンドがあるので、ヘッドレストの高い椅子に寄りかかると押されることもあります。
周りの騒音を消すANC(ノイズキャンセリング)がない
周りの音を聞くための道具なので、聞いている人の耳に入る騒音を打ち消すANC(アクティブノイズキャンセリング)とは考え方が反対です。Shokzも「周囲の音を拾えるというメリットと引き換えに、ノイズキャンセリング効果は低くなります」と説明しています。勉強や仕事で集中したいときに騒音を消したい人には、選ぶ道具が違います。
なお、後で紹介するOpenRun Pro 2の「AIによるノイズ低減」は、通話のときにマイクが拾う雑音を抑える機能です。自分が聞く音から騒音を消すANCとは別のものなので、混同しないでください。
デメリットを小さくする使い方
音量は「周りの音が聞こえる範囲」にとどめる
音量を上げすぎると、音漏れと振動が同時に大きくなります。骨伝導の良さを残すためにも、周りの音と混ざって聞こえるくらいを目安にしてください。聞こえにくい場所では、無理に音量を上げずに使うのをやめるほうが、結果的に快適です。
付属の耳栓を使う
骨伝導イヤホンには、耳栓が付属しているモデルがあります(後で紹介するOpenSwim Proには水泳用の耳栓が付いています)。耳栓をすると周りの音が減るぶん、骨を通した音が聞き取りやすくなります。騒がしい場所で試してみる価値はあります。ただし、屋外の運動中に耳栓をすると周りの音が聞こえにくくなり、骨伝導を選んだ意味が薄れるので注意してください。
イコライザーで音を調整する
メーカーのアプリでイコライザー(音の高低のバランス)を変えられるモデルがあります。話し声を聞きやすくする設定や、低音を強める設定を試すと、使い道に合った音に近づけられます。
着け方を合わせる
振動する部分が、耳の穴の前、こめかみ寄りの骨に軽く当たる位置が基本です。位置がずれると音が小さく、振動だけを強く感じやすくなります。メガネと一緒に使う場合は、先にイヤホンを着けてからメガネをかけると、つるとの干渉が少なくなることがあります。
注文する前に書き出す5つのこと
場所が決まったら、注文する前に次の5つを書き出してみてください。「どこで、何を聞くか」がはっきりすると、自分に合うかどうかが判断しやすくなります。
- 使う場所:屋外の運動中か、家の中か、通勤の電車か。電車で使う時間が長いなら、骨伝導は主役にしないほうが無難です
- 聞くもの:音楽か、ラジオやポッドキャスト、動画の話し声か。話し声が中心なら低音の弱さは気になりにくくなります
- 1回に使う時間:2〜3時間を超えて使うなら、再生時間の長いモデルを選びます。再生時間はメーカー公表値で、音量や使い方によって短くなります
- メガネや帽子の有無:毎日かけるメガネのつると重なる位置か、帽子やヘルメットのベルトと干渉しないかを考えます
- 通話やウェブ会議に使うか:使うなら、マイクの性能と、2台の機器を切り替えられるマルチポイントの有無を確認します
1つでも「ここは譲れない」という条件に合わないなら、カナル型やイヤーカフ型と比べてから決めても遅くありません。たとえば振動がどうしても苦手なら、ほかの項目がすべて合っていても骨伝導は向きません。
使い道で選ぶShokzの3モデル
国内の公式ストアと正規代理店で買えるShokzから、使い道の違う3モデルを選びました。順位は、価格と仕様をもとにした編集部の選び方で、実測や売上の順位ではありません。価格は2026年10月時点の目安です。Shokzの公式ストアでは、2026年10月13日〜19日の秋のセールで割引価格になっています。
1位:Shokz OpenRun Pro 2(骨伝導と空気伝導の2つで低音を補う)
骨伝導と空気伝導の2つで低音を補う
- 価格の目安
- 約2.2万〜2.8万円
- 方式
- 骨伝導スピーカー+空気伝導スピーカー
- 連続使用
- 最大12時間(メーカー公表値)、約5分の充電で最大2.5時間
- 充電
- USB-C、充電時間60分(正規代理店の掲載値)
- 重量
- 約30g(正規代理店の掲載値)
骨伝導の振動に加えて、空気を通して音を出すスピーカーも備えたモデルです。骨伝導の弱点である低音の物足りなさを、空気伝導の音で補う作りになっています。「骨伝導は音が軽い」というデメリットが気になる人に向いています。
再生時間はメーカー公表値で最大12時間、5分の急速充電で2.5時間聞けます。充電はUSB-Cで、専用の充電ケーブルを持ち歩かなくていい点も使いやすいところです。マイクは2つで、メーカーはAIによるノイズ低減で通話中の雑音を抑えるとしています。アプリから2台の機器を切り替えて使うマルチポイント接続にも対応しています。仕様はメーカーの製品ページで確認できます。
- 方式:骨伝導スピーカー+空気伝導スピーカー
- 連続再生:最大12時間(メーカー公表値)、約5分の充電で最大2.5時間
- 充電:USB-C、充電時間60分(正規代理店の掲載値)
- 重量:約30.3g(メーカー公表値)
- 防水防塵:IP55
- Bluetooth:5.3、マルチポイント(最大2台)対応
- 保証:2年間(正規代理店の掲載値)
- 価格の目安:約2.2万〜2.8万円(公式の通常価格27,880円。2026年10月13〜19日のセール価格22,311円)
2位:Shokz OpenMove(まず骨伝導を試したい人の入門機)
まず骨伝導を試したい人の入門機
- 価格の目安
- 約8,900〜12,000円
- 方式
- 骨伝導
- 連続使用
- 6時間(メーカー公表値)
- 充電
- USB-C
- 重量
- 29g
Shokzの中で手頃な価格のモデルです。発売から年数のたったモデルで、公式ストアでは色によって品切れのものがあります(2026年10月13日時点)。骨伝導が自分に合うか分からない、振動がくすぐったくないか確かめたい、という人が最初の1台として選びやすい価格帯です。重さは29gで、充電はUSB-Cです。
再生時間はメーカー公表値で6時間と、1位の半分です。毎日の通勤や長いランニングで使うと、こまめな充電が必要になります。家事やウォーキングなど、1回の使用時間が短い人なら十分な長さです。上位モデルにある空気伝導スピーカーはないので、低音の物足りなさは1位より感じやすいと考えてください。
- 方式:骨伝導
- 連続再生:6時間(メーカー公表値)
- 充電:USB-C
- 重量:29g
- 防水防塵:IP55
- Bluetooth:5.1
- 価格の目安:約8,900〜12,000円(公式の通常価格11,880円。2026年10月13〜19日のセール価格8,903円)
3位:Shokz OpenSwim Pro(泳ぎながら聞ける防水モデル)
泳ぎながら聞ける防水モデル
- 価格の目安
- 約2.6万〜3.3万円
- 方式
- 骨伝導
- 連続使用
- Bluetoothで9時間、MP3モードで6時間
- 内蔵メモリ
- 32GB
- 重量
- 27.3g
防水防塵はIP68で、本体に32GBのメモリを内蔵し、音楽ファイルを入れて聞ける「MP3モード」があるモデルです。メーカーは「水中では、水によってBluetooth信号が妨げられるため、MP3モードのみご利用いただけます」と案内しています。泳ぐときは、あらかじめ本体に入れておいた曲を聞く使い方になります。曲を入れるには、パソコンと付属のケーブルを使い、MP3やFLACなどの音楽ファイルを本体へコピーします。手元に音楽ファイルがあることが前提で、音楽配信アプリでダウンロードした曲をそのまま移せるとは考えないでください。
陸上ではBluetoothイヤホンとしても使えるので、ランニングとプールの両方で使いたい人に向いています。再生時間はBluetoothで9時間、MP3モードで6時間(メーカー公表値)です。水泳用の耳栓が付属しています。メーカーが案内している水中での条件は、淡水で水深2mまで・2時間までです。海で使う場合や、プールに機器を持ち込めるかは、メーカーの案内と施設の決まりを確認してください。泳がない人には、防水とメモリの分だけ価格が高くなるので、1位か2位で足ります。
- 方式:骨伝導
- 連続再生:Bluetoothで9時間、MP3モードで6時間(メーカー公表値)
- 内蔵メモリ:32GB(MP3、FLAC、WAV、AAC、M4A、APE、WMAに対応)
- 重量:27.3g
- 防水防塵:IP68
- Bluetooth:5.4
- 価格の目安:約2.6万〜3.3万円(公式の通常価格32,880円。2026年10月13〜19日のセール価格26,429円)
よくある質問
骨伝導イヤホンは耳に悪くないですか
耳の穴をふさがないため、カナル型で起きやすい蒸れや圧迫感は少なくなります。ただし、音は最終的に耳の奥で聞いているので、大きな音量で長時間聞けば耳への負担はあります。音量を控えめにし、耳に違和感や聞こえにくさが続く場合は、耳鼻科などの医療機関に相談してください。
電車で使うと音漏れしますか
音量によります。騒がしい車内では音量を上げたくなるため、静かな場所より音漏れしやすくなります。電車での使用が多い人は、カナル型イヤホンとの使い分けをおすすめします。
骨伝導とイヤーカフ型(オープンイヤー)は何が違いますか
どちらも耳をふさがない点は同じですが、イヤーカフ型などの多くのオープンイヤーイヤホンは、耳の近くの小さなスピーカーから空気を通して音を出します。骨を震わせる骨伝導とは仕組みが違い、振動のくすぐったさが苦手な人には選択肢になります。耳の形との相性があるので、こちらも試着できると安心です。
ゲームにも使えますか
使えますが、FPSなどで敵の足音の方向や距離を聞き分けたい場合、骨伝導イヤホンは周りの音が入りやすいため、騒がしい場所では足音が聞き取りにくいことがあります(音の方向の聞き分けやすさは、この記事では検証していません)。また、Bluetooth接続では映像より音が少し遅れることがあります。対戦ゲームには、有線のヘッドセットやゲーミングイヤホンが向いています。選び方はゲーミングイヤホンおすすめにまとめています。
ウェブ会議に使えますか
マイク付きのモデルなら使えます。自分の声が周りの音と一緒に聞こえるので、話しやすいと感じる人もいます。会議用の機器選びはウェブ会議用ヘッドセットの選び方も参考にしてください。
バッテリーは何年くらい持ちますか
骨伝導イヤホンも内蔵のリチウムイオン電池で動くので、使ううちに再生時間は短くなっていきます。何年で寿命が来るかは使い方で変わります。替えどきのサインはワイヤレスイヤホンの寿命で解説しています。
雨の日や汗をかく運動でも使えますか
この記事で紹介した3モデルは、いずれも防水防塵の等級(IP55またはIP68)がメーカーから公表されています。IP55は、粉じんと、あらゆる方向からの噴流水に耐えることを示す等級です。メーカーが案内する範囲の汗や小雨には対応しますが、水に沈める使い方やシャワーは想定していません。泳ぐ用途なら、IP68で水泳用に作られたOpenSwim Proが候補です(メーカーの条件は淡水で水深2m・2時間まで)。使ったあとは乾いた布で汗を拭き、充電端子が濡れたまま充電しないようにします。
まとめ
骨伝導イヤホンのデメリットは、低音の弱さ、騒がしい場所での聞こえにくさ、音漏れ、振動、メガネとの干渉、周りの騒音を消すANCがないこと、の6つです。このうち騒音の入りやすさは、耳をふさがない仕組みから来ます。低音の感じ方は、機種や付け方で変わります。
そのうえで、ランニングや家事、在宅勤務のように「周りの音を聞きながら、話し声や軽い音楽を流す」使い方なら、骨伝導の良さが生きます。低音を少しでも補いたいならOpenRun Pro 2、合うかどうかを安く試すならOpenMove、プールでも使うならOpenSwim Proが候補です。自転車に乗りながら使う場合は、骨伝導でも安全な運転に必要な音が聞こえない状態では使えないので、地域の規則も確かめてください。


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